単なる物忘れと認知症の違いは?原因を改善する方法や食べ物はあるの?

物忘れと認知症の違い

あなたは日常会話の中で人の名前が出てこなかったり、または
立ち上がって行った先で何をしようとしたのかを忘れることはありませんか?

そんなときふと「もしかして認知症では?」と不安になることは
多くの人が一度くらいは経験したことがありますよね。

認知症には18歳から39歳までに発症する「若年性認知症」と呼ばれるものもあります。

ただの物忘れか、それとも認知症かというのはどのように区別できるのでしょう。

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物忘れと認知症の違い

年を取ると「ついさっき話した内容を忘れてしまう」ということはよくおきます。

子供との会話中に「さっき言ったよ。」なんて言われることは大抵の方が経験すると思います。

ですがここに単なる物忘れと認知症の違いが表れます。

単なる物忘れとは、

例えば「10時に駅前集合」の時間を忘れてしまったり場所を忘れてしまったりすることを言います。

「さっき聞いた記憶はあるけど細かな内容は忘れた。」というように、
「聞いた事実」の記憶は残っているのが物忘れで、それほど心配のない状態です。

ですが認知症の場合、

「聞いた事実」自体を忘れてしまいます。

「そんな話は聞いていない」となるのが認知症です。

お年寄りがご飯を食べた直後に「今日のご飯はなあに?」
というのは認知症の典型的な症状というわけです。

単なる物忘れのうちはそれほど深刻にならなくてもよいのですが、
そのまま放置し続けても良いかと言えばそうではありません。

「最近物忘れがひどくなってきたな・・・もしかして認知症?」と不安に思っている方に、
まずは病院へ行ったほうがよいのか、それともまだ様子見でよいのかを判断する方法をご紹介します。

自分にどの程度認知症が近づいてきているのかを簡易的に判断するには
ニンニク料理のにおいを嗅いでみてください。

国立長寿医療研究センターの加齢に伴う嗅覚障害の実態把握と予防手法の開発に関する研究によると、
認知機能の低下が見られる方々に色々なニオイを嗅いでもらったところ、
もっとも正解率が低かったのがニンニクで8%、
次いで家庭用ガスが12%、みかんが24%、カレー44%だったそうです。

つまり認知症と言えるレベルまで症状が進行しているとニンニクのにおいを感じにくくなるということです。

逆に言えば普段からニンニクのニオイを意識することで
認知症の早期発見につながる可能性がありますね。

では一体何が原因で認知症になっていくのでしょう。

その理由は大きく分けて2つありました。

認知症の原因1つ目.脳のゴミ【アミロイドβ】

脳のゴミ アミロイドβ(ベータ)

認知症の大きな原因の1つは脳のゴミである「アミロイドβ(ベータ)」と言われています。

この脳のゴミがどのようにして発生するのかというと、
私たちが普段考えたり、会話をしたり、運動したりすることで分泌されるんだとか。

つまり私たちがただ日常生活を送っているだけで脳内で脳のゴミは作られるということ。

そしてこのゴミが溜まり過ぎると脳の細胞が破壊され、
アルツハイマー型認知症を発生するというのです。
(アルツハイマー型は認知症の中で最も発症率の高い認知症です。)

脳のゴミはただ生きているだけで脳内に必ず一定の割合でできてしまうものなのですが、
人間には同時に脳のゴミを処理する機能も備わっています。

ですが残念ながらその能力は加齢とともに衰えてしまうため、
年を取ると脳のゴミが処理しきれずに溜まっていき、
やがてアルツハイマー型認知症を発症することになります。

認知症と診断された人の数を年齢別にみると、

65~69歳 →  2.2%
70~74歳 →  4.9%
75~79歳 → 10.9%
80~84歳 → 24.4% 4人に1人
85歳~  → 55.5% 2人に1人以上

出典:厚生労働省「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究(H26年度)」より算出

なんと80歳を越えると4人に1人、85歳を越えると2人に1人以上の人が
認知症にかかっているのです!

では脳のゴミ処理機能が衰え、ゴミが溜まり出すのは何歳くらいからかというと

認知症を発症する約20年前から

ということが最新の研究でわかったんだとか。

ですから認知症にならないための対策というのは、
年齢に関係なく普段から取り組むことが大事なんです。

では脳にゴミを貯めないためにはどんな生活を送ればよいのでしょう。

脳のゴミが原因による物忘れや認知症リスクを改善する対策や食べ物

ここからは脳のゴミが原因の物忘れや将来の認知症リスクをも下げるためには
どんな対策をすればよいのかをご紹介していきますね。

1.睡眠の時間と質を見直す

脳のゴミを排出するうえで最も大事なのは「睡眠」です。

というのも脳のゴミは睡眠中に排出されるからなんです。

脳のゴミは脳の周りにある脳脊髄液を通り排出されるのですが、
人は普段起きている時には脳脊髄液の流れがゆっくりなため、
脳のゴミを流す力が働きにくい状態にあります。

ですが睡眠中は自律神経やホルモンなどの要因によって
寝ている時の脳脊髄液の量が増えるんだそうです。

その脳脊髄液が頭部に流れ込んだ勢いで脳のゴミを押し流してくれるのです。

で、この時大事なポイントが「睡眠時間」。

スペインのマドリード大学病院の調査で認知症のリスクが
一番低くなる睡眠時間が発表されました。

その1日の平均睡眠時間は「約7時間」。

睡眠時間が6時間以下の人の場合、
軽度認知症外のリスクが7時間睡眠の人に比べ1.36倍となり、
実際6時間以下の睡眠では脳のゴミが十分に排出できないことが
この調査でわかったそうです。

では7時間以上の長い睡眠を取れば、もっと脳がキレイになりそうですよね。

ですが8時間以上の睡眠を取った人は
軽度認知症外のリスクが7時間睡眠の人に比べると1.27倍になったんだとか。

つまり「寝すぎも良くない」ということ。

そしてもう一つの大事なポイントが「睡眠の質」。

ただ単に寝れば良いというわけではなく、
「ぐっすり眠る」というのが大切だそうです。

ですが、年を取ると睡眠の質が不安定になりがちですよね。

ぐっすり眠るにはどうしたらよいのでしょう?

睡眠の質を上げるコツは「体温調節」です。

私たちの体は夜になると自然に体温が下がり、その作用により
自然と眠くなるようにできています。

ですが現代では不規則ない生活やスマホの普及などにより自律神経が狂い、
夜に自然に体温が下がらなくなってしまっている人が多くなっているそうです。

そこで、寝る1時間前に38~40℃のぬるめのお風呂で体を温めておいたり、
ホットドリンクを飲むなどして寝る前に一時的に体温を上げます。

すると体温がゆっくり下がって行くにつれて睡眠に入ることが出来るようになります。

他には布団乾燥機で温めた布団に入ることでも
一時的に体温を上げてから下げることが出来ます。

生活パターンに応じた工夫を試してみてください。

2.ウコン(ターメリック)を摂取する

ウコンは日本では肝臓を守る働きがあるとして知られていますが、
ウコンは「ターメリック」とも呼ばれるカレーのスパイスの一種です。

カレーの黄色い色素はターメリックに含まれている「クルクミン」によるものですが、
そのクルクミンが脳のゴミが溜まるのを抑え、
さらには分解までしてくれる
ことが金沢大学の研究チームによりわかりました。

カレーを食べる(ターメリックをたくさん摂る)国と言えばインドですが、
そのインドではアルツハイマー型認知症の発症率がアメリカの4分の1だそうです。

毎日カレーを食べるというのは無理な話ですが、
いつものおかずの味付けをカレー味に変更したりして、
積極的にウコンを取り入れてみてください。

効率よくターメリックを食事に取り入れる方法として
テレビでおすすめされていた「ターメリック納豆」をご紹介します。

納豆にターメリックを小さじ4分の1ほどを入れ、しょうゆ少々と
黒コショウとリンゴ酢で味を調えて出来上がり。

さっぱりして食べやすいものになりますよ。

納豆好きはぜひ試してみてください。

3.柑橘系の香りで脳を活性化させる

レモンやオレンジといった柑橘系の香りは
交感神経を刺激し、脳の血流をアップさせる効果があると言われており、
記憶や集中力を高め、認知症の予防や改善につながるのです。

レモンやゆずを飲み物や料理に使うのもいいのですが、
もっと手軽なのは「アロマオイル」。

レモンの香りのアロマオイルでも同様の効果を得られるということなので、
より手軽に生活習慣に取り入れやすいですよね。

4.季節や旬を意識する

認知症になると時間の感覚が薄れ、季節を感じにくくなるんだとか。

なので春には梅や桜を飾る、夏にはスイカを食べる、
秋には・・・ 冬には・・・というように季節や旬を常に意識することで
脳を活性化させて認知症を予防するよう努めましょう。

5.知らない人と話をする

街を歩いていて知らない人に話しかけるというのはなかなか勇気がいることですよね。

ですがそれが脳にとってとてもいい刺激になるのです。

とはいえ唐突に他人に話しかけるのも不審者扱いされそうなので、
一番怪しまれない方法としては「スーパーの店員さんに商品の売り場を訪ねる」
などしてみてはどうでしょう。

売り場に案内していただいた後お礼を言うついでに
「なかなか見つけられなかったんですよ~」とか、
「全商品の場所を覚えてるんですか?すごいですね!」というように
一言二言でいいのでコミュニケーションを取ることを心が毛てみましょう。

6.1日5分ボーッとする時間を作る

ボーッとしている時が一番脳を休ませているように感じますが、実は違います。

ボーッとしている時は活動している時よりも脳の消費エネルギー20倍

という研究があり、これは「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳のメンテナンス機能で、
ボーッとしている時に記憶や感情などの情報を整理整頓しているんだそうです。

会話中に中々思い出せなかった名前や言葉が、
忘れた頃にふと思い出すのはボーっとしている時に脳が記憶の整理をしたからなんですね。

7.工夫しながら歌を歌う

工夫しながら歌を歌うとはどういうことかと言いますと、
歌はどんな歌でもいいのです。

例えば「童謡を歌う時に一文字抜いて歌ってみる」というようにすると、
考えずにスラスラ歌える歌でも考えながら歌うようになりますよね。

そうすることで脳の血流が著しくアップします。

その日の思い付きで「今日は(し)を抜いて歌ってみよう」
「今日は(た)を抜いて」とするだけで、
同じ歌でも毎回頭を使うことができるのでおすすめです。

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認知症の原因2つ目.脳の萎縮

脳の萎縮

私たちの脳は加齢とともに誰でも少しずつ縮んでいくものであるといわれています。

これが脳の萎縮です。

一般的には30代から脳の萎縮が始まり、60代になると
目で見てもはっきりわかるほどの脳の萎縮が確認できるようになります。

萎縮の早さや程度には個人差があると言われていますが、
アルツハイマー型認知症を発症した人はかなりの頻度で脳の萎縮が起きています。

なぜ脳は縮んでしまうのでしょう。

脳が縮む原因としてはストレスや肥満もあるそうなのですが、
私たちの脳は20歳をピークに加齢により1日約10万個の脳細胞が減っていくので
全ての人にとって脳の萎縮は避けられないのです。

そして残念なことに多くの大人の生活習慣が脳の萎縮を招く原因になっていることがわかりました。

それは「アルコール摂取」です。

脳の観点から見ればアルコールは100%害悪と言うことになってしまいますが、
身体の健康で言えば適度のアルコールは全く飲まないより良いとも言われていますよね。

それに良好な人間関係を築くコミュニケーションツールとして
アルコールが欠かせない場合もあります。

それらを考慮すれば、やはり多少のアルコールは大人には欠かせませんよね。

以前は「脳細胞は減ることはあっても増えることはない」と言われていましたが、
最近、脳の部分的に増える場所があるということが分かったそうです。

それは「海馬(かいば)」と呼ばれる記憶に関係する部分で、なんと
90歳ぐらいの高齢者でも神経細胞を増やすことが出来たという論文が発表されたそうです。

海馬とは、体験したことを記憶する力や空間を認識する力など、
人が生きていく上でとても大切な働きをするところ。

ちなみになぜ「海馬」という名前が付いたかというと、
その形が「タツノオトシゴ」に似ていることからその英語名である
「Sea horse(シーホース)」を直訳して「海馬」となったそうです。

海馬の主な働きは記憶の整理

私たちが経験した出来事や感じた味やにおいなど五感で得た「新しい情報」は
海馬に一時的に保存されます。

やがてその記憶が海馬によって整理されて大脳皮質に「過去の記憶」として保管されるのです。

ですが加齢などによって海馬の機能が低下すると
新しい記憶が保存できなくなっていくのです。

つまり子供の頃のことはいつまでも忘れず覚えているのに
3日前の夕食に何を食べたかを思い出せないというのは、
海馬の機能が落ちているということになります。

実際、認知症が始まるときには最初に海馬に問題が起きると言われていることから、
脳の中ではそれだけ重要な部分であることがわかりますよね。

では何をすればその海馬の細胞を増やして記憶力を上げることが出来るのでしょう。

手軽に取り入れられる方法を2つご紹介します。

記憶力を蘇らせるには軽い運動をするだけ!

筑波大学のラットを使った研究によって海馬はものすごく軽い運動をするだけで
蘇らせることができる
ということが明らかになったそうです。

軽い運動を約2週間続けることで新しい細胞が増え始め、
さらに4週間、6週間と軽い運動を続けると今まであった神経細胞と繋がり出し、
ネットワークがどんどん広がっていき機能が高まっていくことがわかりました。

つまり軽い運動を習慣化することによって、
新しい脳細胞が作られ古い脳細胞と繋がることによって記憶力が上がるので
記憶の出し入れがスムーズになるというわけ。

では「軽い運動」とはどの程度を指すのかというと、

目安として「安静時の心拍数から20程度上がるくらいの軽い運動を1日10分程度

その程度の運動を6週間続けるだけで海馬が1%肥大して
記憶力が上がったという研究結果が出たそうですよ。

ここで大事なのは軽い運動の「軽い」という点です。

激しい運動だと「ストレス」になってしまい、
ストレスホルモンが脳に作用して効果を阻んでしまいます。

なので「やれるときにやっておこう」「出来るだけやったほうがいいはず」と
と無理をするといい結果は得られませんので、
毎日続けられる軽い運動であることが重要ということを忘れないでください。

健康面から言っても良いことなので軽い運動はぜひ取り入れてみてくださいね。

立ってる間に出来る認知機能の維持・回復方法

かかとを刺激すると認知機能の維持や改善が見込まれるそうです。

その方法は、つま先立ちをしたのちに浮いたかかとを勢いよく床に打ち付ける。

その時の衝撃によって骨に含まれている「オステオカルシン」というホルモンが骨から分泌されます。

オステオカルシンの働きには次のようなものが挙げられます。

1.記憶力・認知機能回復
2.血糖値上昇の抑制・糖尿病予防
3.筋肉増強
4.メタボ予防
5.活性酸素産生の減少・免疫力向上
6.動脈硬化・心疾患予防
7.男性ホルモン増量

つまり骨に衝撃を与えるだけでこれだけの効能を持った物質を作り出すことができるのです。

目安は1日30回程度で、認知機能回復以外にもこれだけの効果がありますし、
電車やバスを待っている間にやっていたとしても、
特段人に怪しまれるほどのことでもありませんので、やらない手はないですよね。

認知症のリスクが半減する食材

認知症予防のために今世界中で注目されている食事法があります。

それは「マインド食」と言われる食事法で、
これを実践すると認知症のリスクがなんと53%も減少するというのです。

この食事法はアメリカのラッシュ大学医療センターで考案されたもので、
認知症になっていない高齢者923人に10年にわたりマインド食を試してもらった結果、
少し実践したグループに比べて十分に実践したグループのほうが
認知症を発症するリスクが53%も低かったことがわかりました。

ではマインド食とはどんな食事法かというと、

「10項目できるだけ摂取したい食材」
「5項目できるだけ避けたい食材」

から合わせて10項目以上守るというもの。

その食材がコチラ↓↓↓

10項目できるだけ摂取したい食材

・緑黄色野菜 週6回以上
・根菜類 1日1回
・ナッツ類 週5回以上
・豆類 週3回以上
・ベリー類 週2回以上
・魚 週1回以上
・鶏肉 週2回以上
・全粒穀物 1日3回
・オリーブオイル 優先的に使う
・ワイン 1日215mlまで

5項目できるだけ避けたい食材

・赤身の肉 週4回まで
・バターやマーガリン 1日スプーン1さじ未満
・チーズ 週1回まで
・お菓子・スイーツ 週5回まで
・ファストフード・揚げ物 週1回まで

この全15項目の中で10項目以上守れるのが理想だそうですが、
8項目守れていた人の場合で35%認知症予防ができたとの研究結果もあることから、
目標設定を緩めにしても効果が期待できるので、ぜひ取り入れてみてください。

まとめ

物忘れと認知症の違いは「会話の内容を忘れるか会話自体を忘れるか」。

物忘れや認知症になる原因は脳にゴミが溜まることと脳の萎縮によるもの。

脳にゴミを溜めないためには質の良い睡眠を7時間とる、
ウコン(ターメリック)を積極的に摂取する、
柑橘系の香りで脳を活性化させる、旬を意識した生活をする、
普段からニオイを意識する、知らない人と話をする、
ボーッとする時間を作る、工夫しながら歌を歌う。

脳の萎縮を遅らせるためにはアルコールをなるべく控える、1日10分程度の軽い運動をする、
1日30回つま先立ちからかかとを床に打ち付けて骨に衝撃を与える、
マインド食を取り入れる。

日本は長寿大国と言われてはいますが、脳や体の健康寿命で考えると決して長寿とは言えません。

年をとっても頭がスッキリクリアなお年寄りでいられるように
今からしっかり対策していきましょうね。

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