日本の国民年金は、20歳になった時点で強制加入となる年金制度です。
現在の日本では20歳を迎える若者の約6割が学生です。
国民年金は強制加入であるといいながら、20歳を迎える人が各々に
手続きをしなければなりません。
国民年金の加入って20歳を迎える年度から?
自分の誕生日から日割りで発生するの?
など、実際には国民年金の加入資格がいつの時点からなのか
よくわからない方も多いのでは?
そこで、国民年金は20歳の何月から加入になるのか、
手続きに期限はあるのか、
学生だけが利用できる学生納付特例制度についてお話します。
国民年金は20歳の何月から納付開始になるの?
「国民年金は20歳から」というのは何となく知っている方もいると思いますが、
実際に何月から納付開始になるのか?
と聞かれると、答えられない方もいるのではないでしょうか。
国民年金は20歳の何月から納付開始になるのかという疑問に対する答えとしては
誕生日の前の日の月から
となりますが、なぜ「誕生日の前の日の月」というややこしい答えになるのかというと、
これは年齢等に関する法律が関係してきます。
閏年の2月29日で考えるとわかるのですが、
もし「誕生日の月から」としてしまうと2月29日生まれの人が該当しなくなってしまうのです。
そのため、一つ年を取るのは誕生日の前日
と定められているため、20歳到達日というのは誕生日の前日となるのです。
ちなみに1学年が4月2日生まれから3月31日生まれになっているのはこのためです。
例えば8月1日が誕生日のAさんがいたとします。
この場合は、誕生日の前日が7月31日となるため、7月分から納付が開始になります。
なんだかとても損した気になりますよね。
ですが、支払いを終える時点でもまた同じ考え方となり7月から納付がなくなる、
つまりは6月で納付を終えることになります。最終的には
「全ての人が40年(480回)分を納付する」こととなるので決して損にはなりません。
ちなみに「日割」という概念もこれを考えると意味がないことがわかりますよね。
国民年金の手続きの期限はいつまで?
20歳の誕生月の前月または当月上旬あたりには日本年金機構より
「国民年金被保険者関係届書」という書類が送られてきます。
よくわからないなー・・・と後回しにしていているうちに、気づいたら2か月経ってた!
と焦る人も少なくないようです。
もし忘れていて手続きしていないという方は、気づいた時点で速やかに手続きしましょう。
というのは、手続きには正式に「いつまで」というような期限や
遅れた場合のペナルティーなど、何もないのが実情です。
だからといってそのまま手続きをせずにいると「職権適用」といって
届け出がない場合の資格取得の手続きを年金事務所側の独断でやってしまいます。
そうなると知らない間に「未納」扱いとなってしまい、
将来受け取る年金に影響するだけでなく、
在学中の事故や病気などの保証にも影響が出てきます。
なので、気づいた時点で速やかに手続きを済ませましょう。
20歳の時点で学生の場合に活用できる免除制度があるってほんと?
20歳の時点でまだ学生である場合、保険料を納められるだけの収入がないことの方が多いですよね。
そこで「学生納付特例制度」というものを活用して保険料の納付を猶予してもらえる制度があります。
先ほどの8月1日に誕生日を迎えるAさんで考えると、
猶予が認められるのは7月からとなります。
その場合、年金制度は年度で区切られているので、
Aさんが20歳を迎えた年度の猶予申請が適用されるのは7月から来年の3月までとなります。
学生納付特例制度は毎年度申請する必要があるので、
来年の4月から翌年の3月分までは再び学生納付特例の申請をしなければいけません。
これを忘れてしまうと「猶予」ではなく「未納」とみなされてしまいます。
将来受け取る年金に影響するだけでなく、
在学中の事故や病気などの保証にもかかわってくることなので、
申請の届け出は忘れずに行いましょう。
学生納付特例制度の注意点
学生納付特例制度とは大学や短大、専門学校、定時制課程や通信課程も含まれるため
ほとんどの「学生」が対象となりますが、いくつかの要件があります。
まず、あくまで所得が一定以下の学生が対象なので、
アルバイト収入が年間で118万円を超えてしまうと対象から外れてしまいます。
それから結婚していて、旦那さんや奥さんに養ってもらっている人(扶養されている人)も対象外。
途中で退学した場合は不該当届を提出しなければならない(卒業した場合は不要)
そして解釈の点で気を付けていただきたいのは学生納付特例制度というのは
「免除」ではなく「猶予」であるということ。
学生である間は一時的に納付を待ってくれているというだけの状態なので、
卒業し、就職や企業などで収入を得られるようになったら「追納」といって
保険料をさかのぼって収めることが必要になります(義務ですが強制力はありません)
そうすることで将来貰える年金額が増えたり、税金が戻る場合があります。
今の時点で追納ができるのは、追納が承認された月の前10年以内の期間となっているのですが、
いつか法改正により10年以上前の分も追納できるようになるかもしれません。
国民年金関連記事:
・国民年金 学生納付特例は利用後追納するべきか?しないデメリットは?
まとめ
国民年金は20歳を迎える誕生日の前の日の月から資格が発生する。
手続きには「いつまで」という期限はないが、
放置していると年金事務所側の独断で手続きされ「未納扱い」となる可能性がある。
学生には「学生納付特例制度」という学生である間、保険料の納付が猶予される制度があるが、
免除ではないので後に追納することができる。
国民年金を収めることは国民の義務となっていますが、
猶予制度や免除制度を上手に活用して、
「未納」にならないようにしましょう。
国民年金保険料の納付は40年続く長い道のりですが、
現在の日本と、将来の自分のために納付し続けることを心がけましょう。