大学進学を目指す受験生の中で、大学生活の費用を
奨学金で賄おうと考える人は今は2人に1人と言われています。
実家が裕福で、大学の費用を親が全額負担してくれる人には
全く縁のない話ですが、
そうでない人にとって、奨学金を貸してもらえるかどうかというのは
「大学に行くことができるかどうか」という第一関門になりますよね。
そして大学卒業後には「奨学金を全額返済できるか?」という第二関門が待っています。
では実際に奨学金の返済期間は最長で何年なのか?
返済期間を短く変更することや延長してもらうことはできるのか?
不測の事態が起きた時、月々の返済事態を猶予してもらうことはできるのかについてお話します。
奨学金の返済期間は最長何年?短くすることはできる?
まず奨学金の返済期間は月いくら借りているか、そして
返還方式によって変わってきます。返還方式には、
所得連動変換方式と定額返還方式の2種類があります。
所極連動返還方式
毎年の所得に応じて返還する月額が変わるため、返済期間が定まりません。
所得や借りた奨学金の総額により返還期間は変わります。
定額返還方式
返還期間は借りた奨学金の総額と割賦方式で決まります。
割賦方式には、月賦返還と併用返還の2種類があり、
「奨学金返還年数算出表」に基づいて返還回数が決まります。
●奨学金返還年数算出表
貸与総額(借用金額) | 還付金の基礎額 |
---|---|
200,000円以下 | 30,000円 |
200,001円~400,000円 | 40,000円 |
400,001円~500,000円 | 50,000円 |
500,001円~600,000円 | 60,000円 |
600,001円~700,000円 | 70,000円 |
700,001円~900,000円 | 80,000円 |
900,001円~1,100,000円 | 90,000円 |
1,100,001円~1,300,000円 | 100,000円 |
1,300,001円~1,500,000円 | 110,000円 |
1,500,001円~1,700,000円 | 120,000円 |
1,700,001円~1,900,000円 | 130,000円 |
1,900,001円~2,100,000円 | 140,000円 |
2,100,001円~2,300,000円 | 150,000円 |
2,300,001円~2,500,000円 | 160,000円 |
2,500,001円~3,400,000円 | 170,000円 |
3,400,001円以上 | 総額の20分の1 |
月賦返還
毎月返済する方式。
「奨学金返還年数算出表」で定めている割賦金の基礎額で割り出した
返還年数(小数点以下切り捨て)を12倍(1年12回分)した回数。
貸与総額 240万円 ÷ 割賦金の基礎額 160,000円 = 15年
返済にかかる年数は15年となり、返還回数は180回となります。
月賦半年賦併用返還
毎月返済し、且つ半年に1度別に返済する。
(要するに毎月返しながらボーナスでも返す感じ)
「奨学金返還年数算出表」で定めている割賦金の基礎額で割り出した
返還年数(小数点以下切り捨て)を2倍(半年に1回分)した回数。
貸与総額 384万円 ÷ 割賦金の基礎額 192,000円 = 20年
返済にかかる年数は月賦返還は20年ですが、
半年賦返還の回数は年2回のため40回となります。
奨学金は早く完済してしまうこともできます。
例えば、第二種奨学金を返還中のA子さんがいたとします。
A子さんが借りた奨学金の総額が384万円(月額8万円の場合)で、
年利率固定式で0.3%(ここ数年の数字より)だとすると、
返還期間は20年かかり、利息を含む返還総額は3,962,593円となります。
20年かけて返還すると利息が122,593円余計にかかる、ということです。
この利息分が早く完済することによって少なく済むことになるのですが・・・。
もちろん経済的に潤っていて余裕を持って完済することができるのであれば
完済するに越したことはありません。
ですが、「経済的に余裕がある」というほどでもない場合、
20年の間にかかる利息が122,593円ということは、
1年にかかる利息は6,129.65円ですよね。
さらにこれを12か月で割ると、510.8円となります。
月々利息を510円払っているだけなんですよ。
これをやっとの思いで貯めた貯金で無理をして完済することによって、
もしその後に事情が変わり、大きなお金が必要になってしまったら、
新たに借金をすることを考えますよね。
そうなると奨学金の利息よりもはるかに高い利率の利息を支払うことになります。
なのであくまで奨学金の繰り上げ返済を考えるのであれば、
少し余力を残すことも考えることをおすすめします。
奨学金の返済期間を延長してもらうことはできる?
卒業後の就職先や、始めた事業がなかなかうまくいかず、
思うような収入を得られず奨学金の返済が滞ってしまう人も多くいます。
奨学金は、まだ世の中の仕組みがわからない「半分子供」の時に借りるため、
中には返済を滞らせるとどうなるかを理解していない人もいます。
奨学金を滞納し続けると「個人信用情報機関」に登録されることになります。
この個人信用情報機関がいわゆる「ブラックリスト」と呼ばれるもので、
これに登録されてしまうと、将来家を購入するためのローンを組むことができなくなったり、
クレジットカードを作れなくなるという社会生活を送る上で
何かと弊害が出てくることになります。
どれくらい滞納するとブラックリストに載ってしまうかというと、
3か月滞納することで、4か月目から登録されてしまいます。
これに一旦登録されてしまうと、たとえすべての奨学金の返済が終わっても、
そこからさらに5年間登録され続けることになります。
若いうちはあまり実感できないかもしれませんが、
将来結婚してマイホームを持とうと思った時にはじめて
「あのとき延滞さえしなければ・・・」と後悔することになってしまいます。
そうならないためにも、もし月々の返済が苦しく、
「返済額が少なくなれば払える」というのであれば、
「減額返還」と言って、月々の返済額を2分の1、または3分の1に減らすことができ、
1年ごとの申請で最長15年まで延長することができるようになります。
条件としては、収入基準が給与所得者(サラリーマンなど)の場合には年収325万円以下、
給与所得以外の者(自営業など)の場合には年間所得225万円以下となります。
もし上記条件に該当するのであれば、その分返還期間は延びてしまいますが、
ブラックリストに載ってしまうよりはマシですので、
滞納する前に必ず日本学生支援機構に相談に行きましょう。
奨学金の返済期間を猶予してもらうことはできる?
月々の返済額を半分どころか全く捻出することができないほど
生活が頻拍してしまった場合には、返済すること自体を待ってもらう、
「返還期限猶予」という制度があります。
これは収入基準が給与所得者(サラリーマンなど)の場合には年収300万円以下、
給与所得以外の者(自営業など)の場合には年間所得200万円以下に該当した時、
申請するごとに返還を1年間待ってもらうことができるようになり、
そして1年ごとに申請することで最長10年まで延長することができます。
どちらにしても月々決められた返済額を返還することが難しくなった場合には
滞納してしまう「前」に必ず日本学生支援機構に相談するようにしましょう。
奨学金は確かに「借金」ではありますが、一般的なローンに比べて
かなり返済方法など融通が利く点が多いので、積極的に相談して活用しましょう。
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まとめ
奨学金の返済期間は通常の最長では20年ですが、
返済額を減額する制度を利用した場合には最長35年になることもあります。
大学で学んでいる時には将来自分がどのような仕事に就き、
どれくらいの収入を得られるかというのは予想できませんよね。
その時になって困らないためにも、学生時代になるべくアルバイトで
月の生活費の負担を減らすなどの工夫をするようにしましょうね。