奨学金を申請しようと思っても、残念ながら学生一人の信用度では
お金を貸してはもらえません。
なので奨学金を借りるにはその他の力が必要になります。
それが「連帯保証人」と「保証人」です。
もしあなたが将来的に奨学金の返還ができなくなってしまった時に、
あなたの代わりに返済することを約束してくれることが
奨学金を貸してくれることに対する担保となります。
基本的に連帯保証人にはあなたの「親」がなり、
保証人にはあなたから見た「おじ、おば、収入がある兄弟姉妹やいとこ」というような
いわゆる「4親等以内の親族」に当たる人にお願いすることになるのですが、
色々な事情から、保証人や連帯保証人を用立てることができない方もいますよね。
じゃあそんな人は大学へ進学することはできないのかというと
決してそうではありません。
奨学金の申請には連帯保証人と保証人の両方が必要
奨学金の申請をする際には連帯保証人と保証人を立てる「人的保証」と、
もう一つ「機関保証」というのがあります。
この二つの保証にはそれぞれメリット・デメリットがありますので、
まずはその辺をご説明しますね。
奨学金の人的保証のメリット・デメリット
人的保証のメリットはズバリ「お金がかからないこと」です。
機関保証にした場合にかかる保証料は貸与月額が大きくなればなるほど
この保証料も大きくなります。
しかもこの保証料はどのように支払うかというと、
毎月振り込まれる奨学金から自動的に差し引かれてしまうため、
振込額が少なくなります。
保証料の金額に関しましては後ほどご紹介します。
人的保証のデメリットとしては、連帯保証人と保証人の両方揃わなければ使えない点があります。
連帯保証人にはたいてい親がなりますが、もし保証人を立てることができない場合には
機関保証を頼るほかに道はありません。
さらに手続きの際に収入証明書を用意したり、印鑑証明書が必要になったりと手間がかかるという点。
そして保証人になれるのは「65歳未満」という年齢条件があります。
そして人的保証最大のデメリットといえば、
奨学生が返済を滞納すると「連帯保証人(親)」→「保証人(4親等以内の親族)」の順に
一括返済の責任が生じる点です。
応じなければ差し押さえなどの法的措置が待っています。
奨学金の機関保証のメリット・デメリット
一方、機関保証一番のメリットは連帯保証人や保証人をお願いする必要がない点です。
万が一奨学生が後に自己破産してしまったとしても、
親や親戚に返済責任が生じることはありません。
ですが機関保証のデメリットは、
保証料の支払いが必要な点です。
保証人を頼める人がいない場合
そもそもお願いできるような4親等以内の親族が存在しない場合には
考える間もなく機関保証のお世話になるしかないのですが、
では実際、機関保証にかかる保証料はどれくらいなのでしょう。
例えば4年間第二種奨学金を借りた際に発生する機関保証料はこちらです(平成30年度適用)
貸与月額 | 貸与総額 | 保証料月額 | 4年間合計支払額 |
---|---|---|---|
20,000円 | 960,000円 | 591円 | 28,368円 |
30,000円 | 1,440,000円 | 1,120円 | 53,760円 |
40,000円 | 1,920,000円 | 1,494円 | 71,712円 |
50,000円 | 2,400,000円 | 2,115円 | 101,520円 |
60,000円 | 2,880,000円 | 2,682円 | 128,736円 |
70,000円 | 3,360,000円 | 3,616円 | 173,568円 |
80,000円 | 3,840,000円 | 4,312円 | 206,976円 |
90,000円 | 4,320,000円 | 4,851円 | 232,848円 |
100,000円 | 4,800,000円 | 5,390円 | 258,720円 |
110,000円 | 5,280,000円 | 5,929円 | 284,592円 |
120,000円 | 5,760,000円 | 6,468円 | 310,464円 |
140,000円 | 6,720,000円 | 7,553円 | 362,544円 |
160,000円 | 7,680,000円 | 8,636円 | 414,528円 |
貸与月額に2万円(薬・獣医学)、4万円(医・歯学)増額貸与希望者のみ対象)
4年間に支払う保証料の総額が貸与月額が高くなればなるほど高額になります。
貸与月額が5万円以下であれば保証料も10万円以下ですが、
それ以上の金額を考えると、連帯保証人や保証人をお願いすることの重要性、
そして引き受けてくれた方への感謝の気持ちが湧いてきますよね。
ちなみにその他の場合の保証料が知りたい場合は
日本学生支援機構/保証料のページをご覧ください。
機関保証で借りた奨学金を返さないとどうなる?
人的保証にすると、万が一奨学金を返済できなくなってしまった時には
連帯保証人や保証人が代わりに返済してくれることになります。
では機関保証で奨学金を借りた人は、返済できなくなってしまったら
機関保証で保証してくれるってこと?
と考えがちですが、そうではありません。
機関保証というのはあくまで「一時的に」返済を肩代わりしてくれるだけなので、
あなたへの返済金の取り立てをする機関が、
「日本学生支援機構」から、保証機関である「日本国際教育支援機構」に変わるだけのこと。
もし滞納した奨学金を返済しないとどうなる?人的保証編
例えばあなたが奨学金を返済できなくなり、連帯保証人になっているお父さんが
あなたの代わりに返済すれば、この時点で日本学生支援機構への借金は無くなります。
そしてもしお父さんが返済できなければ、次の段階として
保証人のおじさんがあなたとあなたのお父さんの代わりに返済することになります。
するとこの時点で日本学生支援機構への借金は無くなります。
(ここでおじさんが返済に応じないとおじさんが訴えられてしまいます。)
その後、お父さんまたはおじさんがあなたへ返済を迫ろうとそうでなかろうと、
すでに返済をしてもらった日本学生支援機構にはもう関係ありません。
ではこれが機関保証の場合はどうなるのでしょう。
もし滞納した奨学金を返済しないとどうなる?機関保証編
要は機関保証というのはこの「お父さん」や「おじさん」が
「日本国際教育支援機構」に変わるのと、
お父さんやおじさんと違うのは日本国際教育支援機構が確実にあなたに返済を求め続けます。
この場合も日本国際教育支援機構が動いた時点で、
日本学生支援機構で借りた奨学金は完済したことになります。
そしてその後は日本国際教育支援機構への返済義務に変わり、
あなたがそれでも返済に応じない場合には日本国際教育支援機構が
あなたに対して給料の差し押さえなど、法的な措置を取ることになります。
つまり、お父さんやおじさんに「金返せー!」と追いかけられることはあっても、
払わないことに法的な問題はありませんが、
日本国際教育支援機構から逃れることは絶対にできないのです。
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まとめ
奨学金には連帯保証人と保証人の両方必要な人的保証と、
日本国際教育支援機構が保証機関になってくれる機関保証の2種類がある。
機関保証で借りた奨学金を返さないとどうなるかというと、
滞納を続けることで返済先が日本学生支援機構から
日本国際教育支援機構に変わるだけで、返済しなくてよくなることは永遠にない。
機関保証にしたからといって奨学金を踏み倒すことはできません。
あなたが借りた奨学金をきちんと返済することで、
未来の奨学生が安心して進学に必要なお金を借りることができるのです。
その責任を胸に、大人になったあなたの責任で奨学金は返済しましょうね。