肴とつまみには違いがあった!魚と肴の違いと語源について 

肴とつまみの違い

居酒屋さんに行って気になることに遭遇しました。

それは「酒の肴」と「おつまみ」の違いについて。

普段はあまり深く考えることなく使っている2つの言葉ですが、
「さかな」と聞くと「お魚」が出てくるような気がしませんか?

現在ではほぼ同じ意味で扱われていることが多いのでしょうが、
やっぱり気になる本当の意味や違い。

この2つの言葉はいつから使われるようになったのか、

そして同じ読みの「魚」と「肴」にはどのような違いがあるのか調べてみました。

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肴とつまみの違い

現在では同じ意味で扱われている「酒の肴」と「おつまみ」ですが、

そもそもこの2つの言葉はいつ頃生まれたものなのでしょう?

まず先に使われ出したのは「酒の肴」。

その歴史は意外に古く、奈良時代には使われていたそうで、

常陸国風土記(ひたちのくにふどき)

という書物に「酒肴(サケサカナ)」と言う文字が登場します。

奈良時代にお酒と一緒に食べられていたものには、

・粗めの塩
・大豆、塩、麹などを発酵させた醤(ひしお)
・魚の塩辛
・貝の干物
・柿や梨といった果物
・栗や胡桃といった木の実

などがあり、当時はこのようなものを「酒の肴」と言っていたそうです。

ではなぜこのようなものを「酒の肴」と呼ぶようになったのでしょう?

それは肴(さかな)という言葉の語源を見ていけばわかります。

さかなの「さか」は「さけ(酒)」を意味し、
「な」は「おかず」のことを意味しています。

要するに「さかな」とは、お酒を飲む時に食べる料理のことを言っていて、

その後に中国からきた漢字の中で、

「酒を飲む時に添える料理」という意味の「肴(こう)」という字があったことから
「さかな」と言う字に当てられたのです。

つまり、お酒を飲みながら食べるものであれば料理に関係なく
全てが「酒の肴」ということになるんですね。

では一方の「おつまみ」とはどのようなものを指すのでしょうか?

「おつまみ」という言葉が使われるようになったのは、これまた歴史の古い
平安時代から室町時代だと言われています。

その当時お酒と一緒に食べられていたのは、

・粗めの塩
・大豆、塩、麹などを発酵させた醤(ひしお)
・魚の塩辛
・貝の干物
・柿や梨といった果物
・栗や胡桃といった木の実

といった奈良時代からある酒の肴に加え、

・魚介類などの蒸し物
・野菜の煮物
・鴨やキジといった焼き物

といったものがあるのですが、

この中で、「おつまみ」と言っていたのは

・塩
・貝の干物
・果物
・木の実

といったもので、その理由は

「箸を使わず手でつまんで食べるもの」だからです。

これらのものは調理せず、すぐに出せるものだったため、
肴と区別して呼ばれるようになりました。

そして当時は「つまみもの」と呼ばれていたのですが、
これに丁寧語の「お」がついて「おつまみ」と呼ばれるようになりました。

現代でいうと、枝豆やあたりめ、柿の種のような
手でつまんで簡単に食べられるものは「おつまみ」ということになりますね。。

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魚と肴の違いと語源について

魚とは海や川を泳いでいる魚類を指します。

なので、お酒と一緒に食べる「肴」とは全く関係がないことから

魚と肴は違うもののように思えますが、
実はこの2つには意外な関係があるのです。

その昔、江戸時代以前は水の中を泳ぐ今でいう「魚」は
「さかな」とは呼ばず、「うお」と呼んでいました。

当時「魚」という文字は

訓読みでは「うお」
音読みでは「ぎょ」

と読み、「さかな」とは呼んでいなかったのです。

ですが江戸時代になると江戸湾(今の東京湾)で漁が盛んに行われるようになり、
酒と一緒に食べる料理として刺身や焼き魚などの魚料理が人気となり
よく食べられるようになりました。

そのため、酒を飲む時に食べる「酒の肴」といえば
この「うお」という印象が強くなり、

次第に「うお(魚)」を「さかな(魚)」と呼ぶようになりました。

つまり、普段私たちが読んでいる「魚(さかな)」は
酒の肴(さかな)が語源になっているのです。

まとめ

肴とつまみの違いは、調理などのひと手間がかかるかどうか。

昔は「うお」と読んでいた「魚」という漢字を
「さかな」と読むようになったのは、酒の肴が始まりだった。

普段何気なく使っている「酒の肴」や「おつまみ」という言葉ですが、
意外に歴史は古く、ちゃんとした違いがありました。

きっと海外から来られた方は「さけのさかな」と聞いたら
「お魚料理が出てくると思ったのにお魚じゃない(?_?)」
と疑問に感じる方がいるでしょうから、

そんな時にはこのような違いを説明してあげられるといいですね。

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